―HIROの非日常―

そう全ては、コノヨノマボロシ―Worldly Phantom―……非日常が加速する。

コノヨノマボロシ第一期《起》  >>1 >>2 >>3

コノヨノマボロシ第二期《承》  >>1 >>2 >>3 >>4

コノヨノマボロシ第三期《転》  >>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7 >>8 >>9 >>10

コノヨノマボロシ第四期《結》 >>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7 >>8 >>9

コノヨノマボロシ EX story   >>1 >>2 >>3 >>4



コノヨノマボロシ第二十三話




 鮮血色の月は戦いで流れた血の色だと誰かが言った。


 鮮血色の月夜には多くの血が流れると誰かが言った。


 流れた血はまた月を紅に染めるのだと誰かが言った。


 


          ……だからワイは、この月が大嫌いや。 




 
 隼人に向かい紅姫が疾駆する。
 紅姫は胸の前で愛刀を構え、隼人は銃を抜いた。
 武器の種類上隼人が圧倒的に有利であるが、また接近戦であれば紅姫に軍配が上がる。

 結果的に、隼人まで紅姫がたどりつくまでの1秒にも満たない刹那の瞬間で勝負は決するはずであった。
 しかし、当たれば必ず致命傷になるという現実が隼人の行動を遅らせた。

 その間に紅姫は戦闘範囲に入り、第一撃を見舞おうと愛刀を振り上げた。
 この時点で決着がついたことが無常にもエージェントとして生きてきた隼人にはコマ送りのような景色とほぼ同時に理解できていた。
 『もうダメか』という言葉が頭をよぎり目に映った殺気を含んだ紅姫の顔が眼前に迫る。
 そして、振り上げられるナイフの鈍い光さえも。
 反射的に瞳を閉じる。そこに現れたのは安息の闇。自分が死んでしまったのかも生きているのかもわからないほどの刹那の出来事に隼人の脳は麻痺していた。

 ……しかし、現れたのは安息の死などではなく見慣れた顔に走った赤い筋。

 紅姫の頬に鋭利な刃物で切り裂かれたような傷ができていた。

 『……邪魔をしないで、medical……”死にたいの?”』

 紅姫は白衣を翻し、血染めのタバコを咥えていた男に殺気を込めてそう言い放った。

 『あんまり強い言葉を吐かん方がええ……殺されたくないならそこから一歩も動くな。コマギレになるで?』

 目を凝らせば紅姫の周りにはすでに数十本のワイヤーが張り巡らされていた。
 
 『なんや、ザコ片付けて気配探ってきてみれば……笑えんジョークやなぁ?』

 『medical ……悪い、助かった。』

 白衣の男は答えることはなく、ただ”フン”と鼻を鳴らした。
 蚊帳の外かと思われた沙織には、驚くことに全ての出来事が鮮明に”見えて”いた。
 
 『なんなのこれ……隼人?紅姫ちゃん……medicalさん……』

 その声も空しく、三人は決して緊張を解くことはない。
 
 『なんやリミッターの解除までして、戦争でも始める気かいな?なぁ、紅姫』

 なによりもその声が全てを悟っていることを他の三人に知らせた。
 
 『五月蝿い、邪魔をするな。邪魔をするなら命の保障はしない』

 紅姫がポケットから一つのビンを取り出す。
 その中には白い錠剤のようなものが詰まっていた。

 『もういい、隼人だけでいい……他のコトなんて知らない……みんな知らない……』

 紅姫はその中の錠剤を掌に10錠以上取り出し、口に押し込んだ。
 ソレを嚥下した瞬間、紅姫の瞳がより濃い紅色に染まっていた。

 


 ――type 殺戮型 biggest red the 【鮮血の瞳】――



 力なく項垂れる紅姫だが、明らかに今までとは全く違った雰囲気に隼人もmedicalも緊張を一層強めた。

 項垂れた腕が掴んだままのナイフを紅姫は一閃。
 金属さえ通さないワイヤーがまるで糸のように音を立てて切断される。

 『なんだ……何を飲んだ!!紅姫!!』

 しかし、その問いに答える間もなく紅姫は隼人の右足にナイフを突き立てていた。
 足に走る激痛に顔を歪める。しかし、紅姫はニヤリと笑うとそのナイフを手首の力でねじ込んだ。
 神経と筋肉が抉られる感覚と激痛に襲われる隼人は痛みよりも、妙な感覚に襲われていた。

 『紅……姫……お前……まさか……』

 声は出ずとも medical、沙織でさえも同じ感覚に襲われていた。

 生死の駆け引きだけの恐怖ではない。
 たとえるなら、捕食者の前に置かれた弱者の心境。
 
 その妙な感覚の結論がでるのは遅くはなかった。

 『な……んで……』

 激痛で薄れゆく意識の中で隼人は問いかけていた。

 



  ――なんで、お前の中にT・Pがいるんだよ……紅姫……。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~^

 『biggest red が”使った”か。少々予定よりも早い……しかし、まぁいい。物語は予定通りにいくものではないからな……』

 モニターを眺めていた男は冷淡に言い放った。

 『人間を取り込んだ”人外”』

  『”人外”を得た人間』

 『この茶番劇の終焉まで舞台に立ち続けているのはどちらかな?』

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ――彼らは知らない。

 ―――事態は急速に収束していることを。


 

 

 

   
COMMENT
こちらでは初めまして(^^)
先日はリンクを貼って頂いてありがとうございました。
こちらからも相互させて頂きましたのでご確認下さい。
これからもよろしくお願いいたします。

それにしても…
息をつかせない展開の速さですね。
読んでいてなんだかどこに落ち着くのかとハラハラしました。
たて様>ご訪問ありがとうございます。

そしてはじめまして副管理人のカフェ娘と申します。

たて様のサイトも拝見させていただいております。すてきなイラスト、頑張ってください。

小説についてですが、管理人さん曰く『スタイリッシュとはいえないよなぁ』とぼやいております。笑

小説についての賛辞、またのご訪問をお待ちしております。

COMMENT FORM
NAME
TITLE
MAIL
URL
COMMENT
PASS 管理者にだけ表示
TRACKBACK
TB URL  » for FC2 user

リンク

フリーエリア



時間のないサイト運営者リング

やる気はあるサイト運営者リング

超健全サイト運営者リング

ブログ内検索

RSSフィード

Powered By FC2ブログ