―HIROの非日常―

そう全ては、コノヨノマボロシ―Worldly Phantom―……非日常が加速する。

コノヨノマボロシ第一期《起》  >>1 >>2 >>3

コノヨノマボロシ第二期《承》  >>1 >>2 >>3 >>4

コノヨノマボロシ第三期《転》  >>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7 >>8 >>9 >>10

コノヨノマボロシ第四期《結》 >>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7 >>8 >>9

コノヨノマボロシ EX story   >>1 >>2 >>3 >>4



コノヨノマボロシ第二話【This was the scene of the atrocity. 】

【This was the scene of the atrocity. 】
「ねぇ!行きたいトコがあるんだ!一緒に行こうよ!」

沙織が、隼人の袖を引っ張りながら子供みたいにダダをこねるので一応行き先を聞いてみた。

「行きたいトコって、ドコだよ」

すると沙織は自分の後方に向かって指をさしながら目を輝かせていう。

「あれに乗りたくない?」

沙織の指が指した方向にあったものは、この町の唯一のテーマパークに作られている観覧車だった。
それを聞いた隼人はあきれた様子で家路につこうと歩き出したが、沙織に強引に(半ば強制的に)同行させられることになった。

テーマパークに入り、沙織は観覧車の待ち時間の間に飲み物を買いに行くと言って隼人を残し自動販売機を探し走っていった。
そのとき、隼人の携帯に着信が入った、通話ボタンを押し電話に出ると隼人の表情が一変、気がつくと走っていた。

「ミッションです、《幻》 あなたの町の近くのテーマパークにて微量ながら危険レベルBのT・P(テンタクル・パラサイト)が目撃されています。
至急現場に急行し被害が出る前に排除してください」

その電話を受けた直後、聞きなれた声の 悲鳴 が聞こえた・・・。

「沙織ィィ!!」

―――考えるよりも先に叫んでいた―――

そして自分で感じるよりも先に自らの持つ常人を明らかに超えた能力を発動させていた。

隼人の――空間指定能力――自らの指定した空間を移動させたりすることが可能な能力だが指定する空間の大きさ、価値に比例して消費する
体力、精神力も大きくなってゆくため、非常に強力ではあるがあまり多用することができない異能である。

そしてもう一つの――力式変化能力――通常、肉体には 【自らの体力】+【自らの精神力】×【自らの限界の値】=肉体的能力 という力式が成り立つが
隼人の能力はその力式を大幅に変化可能にする能力である。【自らの体力】+【自らの精神力】×【自らの限界の値】=【肉体的能力】×【異能の能力値】=【限界能力=疲労】
という具合に自らの肉体的能力を何倍にも変化させることが可能だが、その異能は自らの身体に大きな負担をかけてしまうため長時間の使用は禁物である。

常人では到底追いつくことさえできないスピードで失踪しながら沙織を探す隼人はテーマパークの中心ほどにある売店の外側にうずくまっている沙織を見つけ叫ぶ。

「沙織ィ!!」

「きちゃだめぇ!!」

沙織がこちらに気づいた途端に叫んだ言葉に反応して もうひとつ の存在に気づく、見覚えのある顔、勘違いではないそのもう一人は隼人の同僚だった。
常人を遥かに凌駕した跳躍で沙織と同僚の間に割り込むようにして着地し、問いかける。

「なにしてる」

同僚の男は少し不思議そうな顔をして微苦笑して話す。

「指令があったんだよ、おめぇさんにもあったろ?T・Pが出てるってよ」
「それは知ってる、それでなんでコイツを狙うんだ?」

同僚の男がため息をつきながら言う。

「なんでって・・・おめぇ・・・気づかねぇのか?そいつだよ現れたT・Pってのはよ」
「なっ・・・・・・」

一瞬、自分の耳を疑った。

「ふざけるな!そんなわけないだろ!沙織が・・・・・・T・Pなわけないだろ!」

そう言って男の胸ぐらを掴み叫ぶように言う。
すると沙織が泣きそうな顔で割って入った。

「わかってます、抵抗はしません」
「それは助かるね・・・・・・ならせめて苦しまずに一撃で始末してあげようかな」
「ありがとうございます・・・・・」

すると男は懐から一本の鈍い光を放つナイフを取り出し沙織に向かって振り下ろした。
その瞬間――腕に鈍い衝撃があった後ナイフが地面に突き刺さっていた。
隼人の放った胴回し蹴りが男の腕を捕らえていた。

「なんだよ、隼人お前もしかして指令を無視する気か?」

隼人が唇をかみ締め・・・・・・言う。

「ふざけるな!沙織がT・Pだったからってはいそうですかって始末されるの見てられるかよ!!」
「それは、裏切りととっても構わないんだな?」
「どう捕らえてもらっても構わないさ!」

そう隼人が言い切った瞬間、隼人の右頬がスッパリとまるで鋭利な刃物で切りつけられたかのような傷ができていた。
隼人は顔色一つ変えずただ男を見据えていた。

――真空操作能力――

この男の異能である。
目標物の周囲を真空状態を作り出すことができる能力、一般的にカマイタチと呼ばれることもある。
しかし、隼人も同じく【力式変化能力】を発動し素早く沙織を抱きかかえ同僚の男の放つカマイタチを避けながら、
文字通り電光石火のごとく安全な場所まで佐織を抱え跳躍する。

「沙織!沙織!」

沙織に呼びかけてみるが、恐怖で体が強張ったまま震えている。

「畜生……沙織!ここを動くなよ!」

そう沙織に言い残し、異能を発動しできるだけ沙織が隠れている場所から遠ざかるべく跳躍する。
沙織との距離が100mを超えたとき、隼人の前方に立っていた観賞用に植えてある樹が一瞬で4分割される。

「チッ!ざっけんな!」

隼人は自分の体を空中で捻り、遅い来るカマイタチを紙一重で避けきった。
同僚の男は、携帯していたナイフを次々と投擲。
しかし……そのナイフが捕らえたのは、隼人ではなく投擲した本人……つまり同僚の男であった。
隼人はナイフの周りの空間を指定して異能を発動。
一時的に空間から除外し向きを逆に入れ替えた後、指定した空間を元に戻した。

「なっ・・・・・」

同僚の男がそう驚きの声をあげた刹那――。
隼人の上段胴回し蹴りが男の顔面を捕らえていた。
隼人の異能の発動と共に放たれた回し蹴りは簡単に男の顎を砕いた。
男が3mほど吹き飛ばされ、隼人は沙織を隠れさせた場所に向かい素早く跳躍。

「沙織!沙織!しっかりしろ!」

隼人は震える沙織をしっかりと抱き寄せながら言う。

「なんで・・・なんでよ・・・」

沙織の震える唇が弱弱しくつぶやくように言った。

「なんで・・・なんで私を助けるのよ・・・私は・・・私は・・・」

「・・・言うな!!」

隼人の叫びにも似た声が沙織の声を遮る。

「でもっ!いつか私は・・・・・人じゃなくなって・・・・・」

隼人は沙織を抱きしめ・・・・・言う。

「お前は・・・・・沙織だろT・Pだろうがなんだろうが・・・・・沙織なんだろ・・・・・だったら俺が」

拳を握り締め・・・・覚悟を決めて約束する。

「俺が・・・・・助けるから」

そこで、沙織は嗚咽とも取れる泣き声をあげながら泣き崩れた。

「うぅ・・・あぅ・・・あぅぅ・・・」

―――気が付くと、すっかり夜が更けていた―――


第一期 『起』 完
COMMENT
面白い!!藁
次も期待してるから頑張って♪
やっと3を読んだよォ〜
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