―HIROの非日常―

そう全ては、コノヨノマボロシ―Worldly Phantom―……非日常が加速する。

コノヨノマボロシ第一期《起》  >>1 >>2 >>3

コノヨノマボロシ第二期《承》  >>1 >>2 >>3 >>4

コノヨノマボロシ第三期《転》  >>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7 >>8 >>9 >>10

コノヨノマボロシ第四期《結》 >>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7 >>8 >>9

コノヨノマボロシ EX story   >>1 >>2 >>3 >>4



第十六話【strengthen one's determination to do】

第十六話【strengthen one's determination to do】
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第十六話【strengthen one's determination to do】


流れてゆく景色が不意に止まったの同時に目が覚める。
ゆっくりと目を開けると、そこには白く、清潔感溢れる建物。

「病院?」

隼人が声をあげる。
―medical―は隼人を一瞥して言った。

「まぁ黙ってついてこいや」

隼人、紅姫、沙織、Yui、―medical―は車から降り、静かな機械音と共に開く自動ドアを抜けた。
すると、見慣れた病院の風景だった。右腕をギブスで巻いた青年。点滴を押しながら歩く老人。
なんの変哲も無い、”ただの病院”。―medical―が受付の看護婦に一言。

「307号室の患者にに面会で連絡をいれてんねんけど」

すると、受付の看護婦はゆっくりと微笑んで書類に―medical―の署名をもらうとまた微笑んだ。

「おおきに」

―medical―がそう言って愛想良く笑うと、看護婦は丁寧に部屋への道を教えてくれた。
ずっと黙ったまま一度も言葉を交わさずただ目的の部屋へと歩いてゆく。
緑色の廊下を抜けて突き当たりの部屋。

『307号室』

プラスチックのプレートにそう番号が打ってある部屋。

「紅ちゃんとYui はここで待っときい、用があるのは隼人と嬢ちゃんだけやからな」

―medical―がそう言ったのと同時に部屋から出てゆく銀髪の男……どこかでみたような……。
しかし、そんなことも気にも留めないふうに―medical―はノックすらせずにドアを開け放った。
――ガラッ

「んじゃ、お邪魔するでぇ〜」

それだけ言ってドアを開けた。マナーとか知らないのだろうかこの男は……。
ベットに横たわる、真っ白な女性。まるで、体中の色素が抜けてしまったかのような。
部屋の色が真っ白なせいか部屋に同化してしまいそうな……”無機質な女性”。
カツカツと大股で―medical―がその女性に近づこうとする。
そのすぐ隣に座る男、周りの目は気にしない性格なのか髪の毛に半分寝癖がついている。

「誰だ……!」

不意に隣に座っていた男の言葉。少し―medical―は目を吊り上げたが特になにをするでもなくこちらに手招きをする。
部屋にはいると四方白で統一されていた部屋が本当に淡白な世界。
部屋の窓に掛けてある青色のカーテンだけが綺麗な色彩を放っていた。

「ワイは―medical―って言うさかい。《狂気》から話を聞いてへんか?」

―medical―が一言。懐からタバコを一本取り出し、咥えたところで禁煙なのを思い出したのか忌々しそうにポケットに戻した。

「狂気……?そんな話は――」

男が警戒を解かない、殺気交じりで―medical―を睨んでいた男を、ベットの女性が腕を掴む。

「誠……私はこの人たちと話がある……外に出て」

女性の言葉は、優しく、どこか命令系ではない。綺麗な言葉。
すると誠と言うらしい男が事態を上手く飲み込めないように抵抗するように言い放った。

「な!?海!……お前を一人でこんな知らない奴等の前に置いて行けると――」

海と言うらしい真っ白な女性の掴んでいた腕の力が強くなった。

「誠……お願い」

何かを訴えるように言った。
すると、誠はゆっくりと頷いて外に出た。
出てゆく一瞬、こちらを見たようだ……どこかで見たことがあるような。


――ガラッ


―medical―が扉が閉まったのを確認すると真っ白な女性に視線を戻し一言。

「海はもう誰だか検討はついてるみたいやな?……隼人、お前は会ったことはないやろうな、紹介するわ……《滅》や」

一瞬、自分の耳を疑った。なぜ、《滅》がこんな場所にいるのか。同じ境遇とはどういうことなのか。
色んな考えが交錯して、少し混乱している。

「そこに掛けてくれ」

海という女性の一言に沙織と同じく置いてあった質素な丸イスに腰掛けた。
―medical―は壁に持たれかかりながら、ゆっくり目を閉じた。
窓に掛けてあった青色のカーテンがはためく。海がゆっくりと口を開く。

「初めまして、《幻》。空乃 海 《滅》だ」

不思議に危機感のないぶっきらぼうな挨拶。
不思議に警戒を解けた。本当に《滅》なのか……。
《滅》が沙織に視線を向けた。

「その子が《幻》が助け出したセカンドか……」

沙織に《滅》が視線を向けると沙織がおずおずと目を合わせた。
すると、《滅》が優しく微笑んだ。
沙織の表情から固さが消え、明るい笑顔が戻った。

「―medical―、彼女の進行状況は?」

壁に持たれかかった―medical―が目をつぶったまま答える。

「40%や、ちょうど……奈緒と同じくらいや」

《滅》がうつむいた。
しばしの沈黙……しかし、《滅》の一言。

「《幻》、お前は強い」

一瞬、意味がわからなかった。
全てを悟りきったような目で、言葉を続ける。

「お前は大切なものを守ろうとしているんだろう?しかし……それは本当に辛い道だ」

――目を見据えて答える。

「覚悟の上です」

それ以上、言葉が出てこなかった。
言おうと思えば言えた言葉もすべて飲み込んでしまっていた。
なぜだかわからないが、これ以上なにも言う必要がないと悟ったからかもしれない。

「全てを敵に回しても……確率が1%未満でも……それでもあきらめないのか?」

――自然と笑顔が出ていた。

「約束……しましたから」

―medical―と沙織の顔から笑みが零れた。
まるでその場の空気が一瞬で変わったかのような開放感。

「彼女が……沙織がT・Pだってことは、いまでも信じられません。全て悪い夢で、いつかまたあの日常が帰ってくるって思う日もあります。」

意識していないのに言葉が出てくる。
なにか心の奥から――溢れ出ているかのように。

「でも、沙織はT・Pだろうがなんだろうが沙織なんです。彼女に責任なんてないんです。だから――」


――決意を秘めた一言。


「……俺は――この子を救います」


―medical―は微笑し、沙織は隼人を見つめたまま涙を目に溜めて、《滅》もまた少し笑みを浮かべた。

「決意……出来たみたいやな?」

―medical―が一言。
静かに俯いた《滅》を見つめながら部屋のドアに手を掛けた。
その一瞬彼女の目から一粒の涙。
ドアに手を掛けたまま、《滅》見つめたまま一言。



―――「頑張れ」―――



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―――ドアを閉めた瞬間。


―――もう一度自分の中で考えた。


―――決意と言う言葉の意味を……。


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―――しかし


―――事態は密かに進行している。





――蒼いカーテンが風に揺れた。
COMMENT
転が長いなぁ 隼人のセリフがカッコイイです〜
滅まで出てきてすごい急展開
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