―HIROの非日常―

そう全ては、コノヨノマボロシ―Worldly Phantom―……非日常が加速する。

コノヨノマボロシ第一期《起》  >>1 >>2 >>3

コノヨノマボロシ第二期《承》  >>1 >>2 >>3 >>4

コノヨノマボロシ第三期《転》  >>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7 >>8 >>9 >>10

コノヨノマボロシ第四期《結》 >>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7 >>8 >>9

コノヨノマボロシ EX story   >>1 >>2 >>3 >>4



コノヨノマボロシ第三話【The boy escaped ran away by night.】

【The boy escaped ran away by night.】
第二期 『承』

とにかく俺たちは逃げた。
コノヨノマボロシから逃げようと、必死だった。
でもそのマボロシは現実味を帯びすぎていて、マボロシではなくなっていた。

「とにかくこの町にはいられないな」

隼人がそう呟いた。
テーマパークの一件以来自宅に帰るのは危険すぎた。なぜならここまでの騒ぎを起こせば必ず本部に連絡が行く、自宅で待ち伏せしていないとも言い切れない。
隼人は、愛車RX7に沙織を乗せ高速を走っていた。沙織は助手席で静かに寝息を立てている。

そして、夜が明けた頃に高速を降り車を停めた。沙織が眠たそうな目を擦りながら不思議そうに首をかしげる。

「ここは・・・?」
「ここは俺の家・・・・・まぁ別荘だな」

目の前にあったのは閑静な住宅街に立つ2階建ての洋風の静かな雰囲気の一戸建ての住宅。
沙織と隼人は玄関を開け廊下を抜けるとリビングのソファーに腰掛けた。
隼人が呟く。

「ここにも長くはいられないな」

沙織は、それを聞くと少し気まずそうに聞く。

「これから・・・どうするの?」
「沙織のT・Pを取り除く手段を考えなきゃいけない」

沙織は少し考えたあと、ゆっくりと口を開いた。

「T・Pって直せるの・・・?T・Pっていうのは生まれながらにして劣勢遺伝子によって作られるウイルスの一種で一定時期を越えると身体に以上をもたらし、人ではなくなって・・・人を主食とするようになっちゃうんでしょ・・・・?」
「学校ではそう習うだろうな、だけど現実は違う、人を主食にする点と人ではなくなってしまう点は共通してるけど」

沙織が、怯えた表情でこちらの顔を覗き込みながら聞く。

「じゃあどうなっちゃうの?」
「劣性遺伝子のせいであるかは、断定はできないな、けどひとつ言えることは・・・・」

沙織が追うように質問する。

「言えることは?」

「T・Pは寄生型で人間すべてに共通して寄生してる。もちろん俺もだ、しかしそれが全て発動するわけじゃない、ほとんどは期が来る前に死滅する。」

隼人は表情ひとつ変えず、冷淡に答える。
そう隼人が言い放った刹那、隼人は『力式変化能力』を発動。瞬時に沙織を抱えリビングから廊下に向かって跳躍。

……しかし急に隼人の頬に 淡い紅色の無造作に切りそろえられた綺麗な髪、同じく淡い紅色の光を秘めた眼光、推定14歳前後の美少女が鈍く光る刃渡り20センチほどのナイフが突きつけている。鋭い眼光を隼人は崩さず言い放つ。

「なんのつもりだ?《紅〜くれない》」

美少女はナイフを腰のホルスターに戻すと腕を組んで冷淡に言う。

「ミッション中でもないのにコードネームで呼ばないで欲しいわね、隼人」
「まずは、俺にナイフを突きつけた理由を聞こうか?紅姫(べにひめ)?」

隼人が沙織を俗に言う『お姫様だっこ』で抱えたまま、安堵の表情を浮かべながらため息交じりで笑みを漏らす。
沙織の顔が少し赤くなっているように見えるのはおそらく間違いではないだろう。

静涼 紅姫(せいりょう べにひめ)――組織上もっとも若くしてエージェントになった人物である。戦闘能力に長けており主に使用する武器は刃物。
火薬など弾薬は一切使わないというポリシーを持っている。戦闘能力に関しては運動能力は隼人が『力式変化能力』を発動させている状態に引けをとらないほどだ。
そして紅姫の異能・・・・・・『自然発火能力』――まさに自然発火現象を故意的に発動させることができる能力である。
しかし、この能力は自らの視界の届く範囲であればどこにでも発火させることが可能なので使いやすい異能の一つでもある。

「忠告しにきたのよ、できるだけ遠くに逃げなさい。なにをしようとしてるかは、わからないし知ろうとも思わないけど逆らったらどうなるかわかってるでしょ?」
「わかってるよ、けどな約束したんだよコイツとさ」

隼人は、お姫様だっこのままだった沙織をソファーに座らせると沙織を一瞥して笑みを浮かべながら言った。

「……なによ……私の前ではそんな顔したこと無いくせに……」
「ん?なんか言ったか?」
「別に?何もいってないわよ!それよりアンタが騒ぎ起こした直後に新しいT・P発動者がでたらしいわ」

隼人が騒ぎを起こしても本部の対応が遅れたのはそのせいなのかもしれない、と隼人は考えた。

「ところでT・Pの危険レベルは?」
「危険レベルC+、雑魚ね」

といいながら紅姫が一枚の写真を隼人に突きつけた。写真に写っているのは頭蓋にいくつもの鉄製のトゲのようなものが無数に突き出ていた。

「《滅》か……」
「そうね、彼女の弾丸は特徴的だわ、隼人も同じようなものだけどね、彼女は正義感強いから真っ先に隼人と……沙織?とか言ったっけ?アンタも消されるわ」

隼人は、写真を紅姫に返すとソファーに深く腰掛けながら考え込む。10秒ほどの静寂をやぶったのは紅姫の一言。

「これからどうするつもりなの?」
「《狂気》に会いに行く」

紅姫が、驚きを隠せない表情で否定した。

「あのマッドサイエンティストに会いに行くわけ?そりゃあんな人物だから本部の人間とは接触しないだろうけど……あいつがまともに話を聞くわけ無いでしょ?ましてや裏切り者だし」
「お前はどうなんだ?」

隼人の一言で、紅姫は少し顔を紅色に染めてうつむく。

「お前は聞いてくれただろ?だから大丈夫だ。ダメなら力ずくでも聞き出すさ」
「……バカ……とにかく!いくなら明日以降にしましょう沙織さんも疲れが溜まってるみたいだし私もここで寝かせてもらうわ」
「なんでだよ!お前だって俺といることがバレたら危険だってわからないほどバカじゃないだろ?」

紅姫が、その場に腰を下ろすとそっぽを向いて呟いた。

「……私だってもう本部にいられるような状況じゃないわ、アンタと接触した時点でね、それを覚悟して出てきたのがわからないのかしら?この鈍感男は……」
「なんだって?」

隼人が聞きなおすと紅姫はまたそっぽを向いて話し出す。

「アンタ一人じゃ心配だからね い ろ い ろ とね」

紅姫は不適に笑った。

「あの〜」

沙織がやっと二人の会話の間に入れたときに言った言葉でまた非日常が続くことになった。

「とにかくお風呂とか入りたいんだけど……」
「……隼人とに覗かれかねないから私も一緒に入るわ」

紅姫が隼人をにらみながら言い捨てた。

「そんなことしねぇよ!!」

―――ここから一夜限りの奇妙な共同生活が始まったのだ。

―――しかし彼らはしらない。

―――この共同生活の裏では、密かに計画が進行していた。


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紅・・・ってか紅姫
 コウユウキャラもいいですネ
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